マンガヘンレキ

昔読んだマンガの記憶をかき集めた、思い出ブログです。

トラウマ! 楳図かずお「洗礼」

今、少女漫画誌にホラー漫画が交じってることって、あるのかな。
私の子供の頃、週刊少女コミックでは恋愛漫画と一緒に楳図かずおの「洗礼」が普通に連載されていた。
風と木の詩」が連載されてたくらいだし、元々異色作揃いの雑誌だったけど、それでもかなり浮いてたような……。
でも、扉絵がカラーの時もあったし、私が知らないだけで、当時、人気だったのかなぁ。
ホラー好きというのは、いつの時代も一定数いるのかもしれない。


私は子供だったから、とにかく「洗礼」が怖くて仕方なかった。
美人女優が年を取って、目の周りにあざが広がっていく様子とか、めちゃくちゃ怖かった。
それで究極の若返りとして、娘と脳移植するという話になるんだけど……。
ちょっと前までは、昔の漫画って突飛な展開が多いよなぁ、くらいに思ってたけど、
美容整形のやりすぎで見る影もなくなっちゃったハリウッドスターを見ていると、
将来的には「洗礼」に行き着くのかも……と思わないでもない今日この頃。
もしかしたら、「洗礼」は時代を先取りしてたのかも。


楳図漫画が恐ろしいのはストーリーだけのせいじゃない。

絵柄も恐ろしさに一役買っていた。
楳図かずおの描く少女って、お人形さんのように可愛いから、その子が目を見開いて、
ほうれい線のしわを濃くして(←いわゆる恐怖じわというやつですね)、「ギャー」と叫ぶと、もうそれだけで怖いのよ。


私には今でも忘れられない、トラウマ回がある。
扉絵が、パカッと頭の割れた人のドアップだったの。
「ギャー」と叫んで、とっさにページを閉じたけど、その時の私の顔には多分、深い恐怖じわが刻まれてたに違いない。


こうして私に散々トラウマを植えつけた「洗礼」だけど、
最後は、全部夢だった、アハハハハ、で終わったような気がする。
違ったかなぁ。(←あんまり自信ない)


その後、楳図かずおは少年サンデーでメガヒットを飛ばします。
それが、「まことちゃん」。
びっくりですよ。
だって、楳図かずおが少年漫画で、しかも、ギャグを書いてるって言うんだもん。
試しに見てみたら、絵柄はほとんど変わってない。
それで、笑え! なんて、無理な話。
だって、あの絵を見たら、条件反射で「怖っ!」と身構えるようになってしまっていたから。
それに、私が見たのは、まことちゃんのお姉ちゃんが十字架で逆さまに磔される、という回で……。
逆さまということは、足を大開脚してるわけで……。
(しかも、パンツをはいてなかったような覚えが……。)
小学生だった私が、無理無理無理となったのは仕方のないことだと思うの。
しかも、ビチクソとかさー、下品なんだよなぁ。
鳥山明のうんちはいいの。可愛いから。可愛いは正義だから。)


だけど、クラスの男子には大人気だった。
後ろの黒板には、誰かが描いた、まこと虫。
「ぐわし」の指をやろうとして、「できねー!」となるのもお約束だった。


ここから私は、かたくなに楳図作品を回避し続けます。

そんな私が、「漂流教室」を読んだのは、随分と大人になってからのこと。
これは違う意味で怖かった。
環境問題とか、深く考えさせられた。
この作品を実写化する時、主人公たちを高校生にしてしまいがちだけど、これは小学生ってところに意味があるような気がする。
環境汚染が始まっていた時代、未来を託すにはまだほんの小さな子供たちしかないと、楳図先生は思われたんじゃないかしら。

今、思えば、「洗礼」だって奥の深い話。

老いへの恐怖なんて、普遍的なテーマだし。

子供だった私は、お化け屋敷に入ったみたいに、「キャーキャー」言ってただけだけど、今ならきっとじっくり読めるんだろうなぁ。

読み直してみようかなぁ。

……やっぱり怖いからやめときます。