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マンガヘンレキ

昔読んだマンガの記憶をかき集めた、思い出ブログです。

まるで朝の連ドラ 「恋糸車」

私はずっと勘違いしていて、大山和栄の「恋糸車」はプチセブンで連載してたものと思ってた。
ちゃんと調べてみたら、どうやら週刊少女コミックだったらしい。
(私がプチセブンで読んでたのは「姉妹坂」だった。これも懐かしー!)
なので、この「少コミ」カテゴリーで書くことにします。


NHKの朝の連続テレビ小説で「おしん」を見た時、私がまず思ったのは「恋糸車みたい」だった。
別に話がそっくりというわけではなくて、雰囲気が似てたからだと思う。
似てると言っても、波乱万丈な女の一代記ってところくらいのものなんだけどね。
とにかく、「おしん」がこんなに受けるんなら「恋糸車」も朝ドラにしたら、きっと大ヒット間違いなしだわと当時の私は思ってた。


時代設定はいつくらい、だったんだろう。
普段着が着物というだけで、子供の私にはすごく古い時代のように思えてたんだけど、昭和の初期でもあり得るのよね。


まあとにかく、少し前の日本が舞台。
主人公は父と母と三人で田舎に住んでるんだけど、父親の体が弱かったのが苦労の始まり。
ほどなくして、父親が死んでしまうと、母と娘の生活に父方の親戚連中が干渉し始める。
この時代、シングルマザーでは生きていけなかったのかなぁ。
とにかく親戚連中が、まだ若いんだから再婚しろ、とうるさいうるさい。
でも、これ、親切心からってわけじゃない。

ていよく家から追い出したいってだけなのよ。
結局、彼らに押し切られて、母親は再婚を決めるんだけど、なんと主人公は父方の実家に置いてけぼり。
(この時代は、子連れ再婚も無理なのか……。)
花嫁衣装を着て家を出ていくお母さんがすごく綺麗で……、それがなんだかすごく哀しかった。


おしん」を見ていた時にも、似たような気持ちになったことがあった。
まだ小さなおしんが奉公先から逃げ出して、お母さんに会いに行く回のこと。
実家はおしんを奉公に出しただけじゃ食べてゆけず、結局、お母さんも水商売を始めてて、おしんが仕事先まで会いに行くと、畑仕事で泥まみれだったお母さんが、綺麗な着物を着て、おしろいをはたいて、すごくいい匂いをさせてるの。
「恋糸車」のお母さんはお嫁入りだし、全く違うシチュエーションなんだけど、何故かオーバーラップしてしまった。
受けたショックの種類と大きさが、同じだったからかもしれない。


さて、「恋糸車」はここからが苦難の連続。
親戚からは邪魔者扱い。
ってゆーか、奉公人扱い。
そんな中で唯一の救いとなるのが、小学校の担任の先生。
主人公を何かと気にかけてくれて、お弁当を持ってきてくれたりする。(イイ人ダー)
お弁当にはお母さんがいた頃によく食べてた、甘~い卵焼きが入っていて……。

(甘い卵焼きって、どうしてこうも人を幸せな気分にさせるんだろう。)
この辺りは読者にとっても一服の清涼剤となっていた。
なのに、「先生がえこひいきしてる!」と騒ぎになっちゃうのよ。くっそ~


主人公いじめは、まだまだこんなもんじゃ終わりませんよ。
中でも酷かったのは、修学旅行でのエピソード。
着物にゆで卵を忍ばせておいたら、そのふくらみを見て店員が「万引きしただろ」と因縁つけられたりするの。
旅先でも、こんな目に遭うなんて……。
なんて不憫な主人公。


そういえば、「おしん」でも泥棒と間違えられるエピソードがあったなぁ。
おばあちゃんがなけなしのお金をお守りに持たせてくれたのを、盗んだものと疑われちゃうの。
こういう小さな共通点が、似てると思わせたのかもね。


と、まぁ、ここまでが子供時代の話。
虐げられてきた主人公も、美しい娘に成長します。
でも、成長したら成長したで、今度は男に襲われそうになるという……。
でも大丈夫。未遂ですから。
落ちてた石で相手の頭をガツッとやって、見事撃退。
成長した主人公は、もうやられっぱなしじゃないんですよ。
お裁縫という手に職をつけて、この後、ちゃんと自立もするし。
確か、恋人(結婚まで行くんだったかな?)も、できた筈。
夫を亡くしたら子供まで手放さなければならなかった、お母さんとは違う人生を、主人公は歩むのです。
今になって思うんだけど、これは、自分の道は自分で切り開けという、少女たちへのメッセージだったのかもしれない。

 

波乱万丈ストーリーというと、昼メロみたいなジェットコースター的なものを想像されてしまうかもしれない。(そういうのも好きだけど)

けど、違うの。

「姉妹坂」もそうだけど、文学作品のような佇まいなの。

私は大山和栄作品のそういうところが好きだった。